ポリファーマシー

ポリファーマシーとは

ポリファーマシーとは複数という意味の「ポリ」と、薬剤という意味の「ファーマシー」を合わせた造語で、必要以上の薬剤を飲んでいる状態を指します。
5~6種類以上の薬剤を服用していることをポリファーマシーと呼ぶことが多く、ポリファーマシーの状態では、薬による副作用が増えることが報告されています。

加齢とともにいろいろな症状が出現するため、高齢者では日常的に5~6種類以上の薬を服用している方は多く、ポリファーマシーを意識しなければ、お薬の数はどんどん増えてしまいます。

ポリファーマシーのデメリット

ポリファーマシーの状態になると、薬同士が影響しあうことで副作用の頻度が増えたり、薬の管理という手間が増えるなど、様々なデメリットが生じるため注意が必要です。

ポリファーマシーによるデメリット

  • 薬の費用が多く掛かる
  • 服用の手間がかかる
  • 飲み忘れや飲み間違いが起こりやすい
  • 相互作用により薬の効果が減弱する場合がある
  • 転倒や認知機能低下などの有害事象につながる恐れがある

ポリファーマシーが
発生する原因

お薬手帳の重要性

医師は患者さんが現在服用している薬を把握したうえで、飲み合わせなど問題のない薬の処方を行います。
ですが、複数の医療機関に通院していたりすると、服用中の薬が分からず、重複したりして、ポリファーマシーが発生してしまうことがあります。
このようなことを未然に防ぐためにも医療機関受診時には必ずお薬手帳を持参するようにしてください。

ポリファーマシーの
予防や対処法

ポリファーマシーの予防

体に異常を感じたら、我慢せずに早めに受診するようにして下さい。病気が悪化することで、治療のために最初から複数のお薬が必要になる場合があります。
また、複数の医療機関で治療を受けている場合は、1冊のお薬手帳に必要な情報をまとめておくことがとても重要です。
お薬手帳には、過去の病歴、副作用歴、アレルギーの有無なども併せて記入しておくことで、ポリファーマシーを未然に防ぎやすくすることが出来ます。
またご高齢の方の場合ではご家族の方がお薬の量や飲み忘れなど気にかけていただくことでポリファーマシーのデメリットを防ぐことに繋がります。

ポリファーマシーの対処

複数の病気で治療中の患者さんが体調不良を感じた時、それがご自身の病気によるものなのか、ポリファーマシーのデメリットによるものなのかを判断することは専門的な知識がないと困難です。
患者さんは医師を信用し、お医者さんが出すものだから体に悪いものはない。と考えておられるので、通常は自分が飲んでいる薬の影響で不調が生じているとは思わないのではないでしょうか。
下記のような状態に思い当たる方は、一度当院までご相談ください。

不適切なポリファーマシーが疑われる状態

  • 服用するお薬の数がどんどん増えている
  • 薬を飲んでも症状が改善しない
  • 薬が増えた後に新たな症状が出現した
  • 転倒することが多い
  • もの忘れが目立つようになってきた
  • 家に大量の残薬(薬の飲み忘れ)がある

治療の優先度に応じた薬剤の調整

当院では、多くの方がお薬のご相談に来られています。
ポリファーマシーの方や、疑いのある方には、治療の優先順位を決めたうえで薬の調整を行います。
複数の疾患を抱えた患者さんでも、どの疾患がつらいか。どの疾患がより重要か。はそれぞれ異なります。
患者さんのお話をよく聞き、一人ひとりの患者さんに合わせた優先順位に応じて治療方法を決め、薬の数を調整します。
一つひとつの疾患のツボを押さえたお薬を選択することで、必要性の低いお薬を減らすことができ、薬が減ったことにより体調がよくなる可能性があります。
当院は無駄な投薬を行わず、患者さんに正直な治療を心がけておりますので、複数の薬を服用している方や、そのご家族様は、一度当院までお気軽に相談ください。

地域連携

当院では近隣の調剤薬局との連携も重要視しており、薬剤師とも日々連絡を取るように心掛けています。
患者さんと薬剤師との些細な会話から薬の服用が見つかることもあり、薬剤師からのフィードバックはとても重要です。