診療について
健康診断は受けていますか?「健康診断」について総合内科専門医が解説します。
皆様は「健診」は受けていますか?
せっかく「健診」を受けているのに、その結果を放置していたりしませんか?
今回は「健康診断」について書いてみようと思います。
健康診断とは?
健康診断(健診)とは、ご存知の方も多いと思いますが、問診や診察、各種検査(尿検査、血液検査、レントゲン、心電図など)などにより、健康状態を評価し、病気の早期発見や予防を目的とするものです。
健康診断には、職場や市町村など自治体で行われる『法令で実施が義務付けられている』ものと、受診者の意思で『任意に』行われるもの(人間ドックなど)があります。
健康診断でどんなことがわかるのか?
では、『健診』では具体的にどのようなことを行うかといいますと、問診(自覚症状、既往歴、家族歴、内服薬の有無など)、身体診察、血圧測定、尿検査、血液検査(貧血、肝・腎機能、高脂血症、糖尿病など)、レントゲン検査、心電図などを行います。
『人間ドック』では更に詳しい項目(肝炎ウイルス、ピロリ菌、腫瘍マーカー、骨密度、胃カメラ、超音波検査、CT検査、MRI検査など)を調べることができます(オプションで追加することができます)。
『健診』や『人間ドック』は、初期は無症状だけど徐々に進行する疾患(悪性腫瘍)や、放置すると重大な疾患に繋がる可能性のある疾患(高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病)の発見に役立ちます。
健診結果を見る時の注意点は?
『健診』の結果は、判定基準に基づいて、A(異常なし)、B(軽度異常)、C(要経過観察)、D(要精密検査)に分類されます。ここで問題になるのは、この判定は各項目ごとに判定されるため、C判定でも場合(併存疾患の有無や家族歴など)によっては治療が望ましいことがあるということです。
例えば、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が170の場合、結果としてはC判定(要経過観察)となります。
ですが、喫煙歴があり、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低く、家族歴で脳梗塞や心筋梗塞があるような場合では、積極的な治療対象になり得ます。このようなケースもあるため、健診結果は総合的に判断する必要があるわけです。
健診結果を放置しないでください!
『健診』を受けたにも関わらず、受けることで満足してそのまま放置している方が結構いるように思います。
実際に診療をしていると、
「高血圧」を放置していた人が急に「脳出血」を起こしてしまい、後遺症が残ってしまった。
「糖尿病」を放置していた人が昏睡状態となり入院。一命は取り留めたものの、生涯インスリン注射が必要な状態になってしまった。
のような患者さんに遭遇することは珍しくありません。
せっかく受けた検査ですから、一度健診の結果を持参して、ご自身の健康状態や、注意すべき疾患などについて医師に相談してみてはいかがでしょうか?